今月の臨床 これを読めばすべてわかる―最新の産婦人科超音波診断
IV 産科における超音波診断─妊娠中・後期
[臍帯異常の診断]
卵膜付着・辺縁付着
長谷川 潤一
1
,
岡井 崇
1
1昭和大学医学部産婦人科学教室
pp.712-715
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102362
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■臍帯卵膜付着
卵膜付着の出現頻度は単胎において1~2%程度で,辺縁付着は3%程度である.双胎妊娠においては,それらはそれぞれ約10倍の頻度でしばしばみられる臍帯異常であり,分娩後の娩出された胎盤で初めて診断されることも多い.臍帯の付着部異常は,子宮内胎児発育遅延,早産,胎児心拍モニタリング異常,低Apgar score,新生児死亡,胎盤早期剥離などと関連することが古くより報告されている.ワルトン膠質は,その弾力で臍帯血管を外力から守っているが,卵膜付着においては,膠質に守られないで卵膜上を走行する卵膜血管が存在することで,妊娠・分娩異常との関連が高くなる.卵膜血管は脆弱で,慢性的に,あるいは子宮収縮や胎動に伴って圧迫されやすい.さらに,破水時は卵膜上の血管が断裂することもある.われわれの検討では,子宮の下1/3にある卵膜付着はNRFSや緊急帝王切開の頻度が高く,前置血管と同様に扱う必要があると考えている1)(表1).
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