豫報・速報
卵膜剥離による人工妊娠中絶法
淸水 直太郞
1
1前橋醫科大學産婦人科學教室
pp.126-127
発行日 1950年3月10日
Published Date 1950/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200331
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人口問題が論議される世潮から避妊法並に人工妊娠中絶法が吾學會でも特に注目を牽き,座談會の話題にされる等專門雜誌を賑はして居る.人工妊娠中絶法に就ては殊にアブレル氏法が操作が簡單であり,且つ從來諸妊娠期中比較的困難を感じた妊娠中間期の中絶に特に適當する利があるが,他方母體を失ひ角を矯めて牛を殺すの危險があることから賛否交々で甲論乙駁の状態である.吾教室では下記の如き中絶法を試み危險なく効果を擧げて居るのでその概略を述べることにする.なほ詳細は後日教室員から發表する豫定である.
第1例は昭和24年6月3日,35歳6箇月,2回經産婦(第2回は妊娠第7ヵ月で人工妊娠中絶)の妊娠第5ヵ月である.子宮腟部は圓柱状,潤軟でリビド着色著しく,外子宮口は全く開大せず.ネラトン氏ゴム・カテーテル8號をブジー挿入法と同様にして卵膜子宮壁間に挿入し,それに連結した注射器で生理的食鹽水100mlを注入し,腟入口部に於てカテーテルにペアン氏鉗子をかけておく.液注入は極めて輕い壓力で容易に出來,その際に疼痛其他の苦痛はない.
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