今月の臨床 習慣流産をとめる
病因を探る
10.心因性因子
金上 宣夫
1
1札幌東豊病院
pp.664-666
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902537
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習慣流産の病因としては,心因性因子のなかにはっきりした直接的なものはないと思うが,間接的には心因性因子の関与は深い.流産が繰り返されるほど心理的には負の方向に影響が強くなる.
文献的には,1985年Mowbray1)らが習慣流産の治療として夫のリンパ球を用いて免疫治療を行っている.有効率をみるために治療群と比較するためのコントロール群にプラセボとして妊婦自身の血液を使っている.この成績では成功率は治療群77%,コントロール群37%で治療群で有意に有効性が認められている.しかしHo2)らの報告でもコントロール群にプラセボとして妊婦自身の血液を使っているが,治療群の有効率は79.5%,コントロール群では65.3%で治療群のほうが高いものの有意差は認められていない.Cauchi3)らの報告ではコントロール群に生理的食塩水を用いているが,この成績では治療群の成功率は62%,コントロール群では76%と両者に有意差はなくむしろコントロール群のほうが成績はよくなっている.
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