特集 難治性婦人科悪性腫瘍の臨床最前線
9.腹膜偽粘液腫
水本 明良
1
,
高尾 信行
1
,
一瀬 真澄
1
,
野口 耕右
1
,
基 俊介
1
,
森河内 豊
1
,
平野 正満
1
,
米村 豊
2
A. Mizumoto
1
,
N. Takao
1
,
M. Ichinose
1
,
K. Noguchi
1
,
S. Motoi
1
,
Y. Morikochi
1
,
M. Hirano
1
,
Y. Yonemura
2
1草津総合病院消化器外科・腹膜播種センター
2NPO腹膜播種治療支援機構
pp.755-759
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000491
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腹膜偽粘液腫は,腹腔内に粘液性腹水と粘液性腫瘍を伴う病態で,発生率は50万~100万人に1人と稀な疾患である。原発はほとんどが虫垂とされている。女性に多く,卵巣転移が高率に認められることから,多くの患者は婦人科を初診とする。組織学的に低悪性度のものが大多数を占め,リンパ節転移や遠隔臓器転移をほとんど認めない。比較的緩徐に経過することが多いが,進行すると腸閉塞,消化管穿孔や癌性悪液質により死亡の原因となる。治療は,腹膜切除による腫瘍の肉眼的完全切除と温熱化学療法が有効で,完全切除が行われた際の予後は良好である。腹膜切除と温熱化学療法による治療は特殊で,本疾患の治療は専門施設で行われることが望ましい。
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