症例
長期残留した子宮内異物除去後,妊娠に至った1症例
三宅 敏一
1
,
平野 浩紀
1
,
渡辺 広史
1
,
幡 洋
1
,
岡部 泰樹
1
,
野村 靖宏
1
,
南 邦弘
1
,
金上 宣夫
1
,
山本 哲三
1
1札幌東豊病院産婦人科
pp.109-111
発行日 1997年1月10日
Published Date 1997/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902818
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は1年前に他院で流産処置を受けた後妊娠せず,月経不順および挙児希望にて来院した31歳の患者である.経腟超音波にて子宮腔内に胎嚢様像を認めたが,尿HCG定量10IU/l以下であったため,子宮内容除去術を施行し異物を確認,除去した.異物はダイラパンであった.後日,経腟超音波では遺残は認めなかった,患者は約8か月後妊娠し,現在妊娠12週で経過はほぼ順調である.
ダイラパンは安全に短時間で子宮頸管を拡張できるので,患者の入院を必要としない点でも有用である.しかし,一方,急速に頸管を拡張するため内子宮口が十分熟化(軟化)されず,強引に牽引すると破損しやすいのが最大の欠点である.破損したダイラパンは長期にわたり残留し,不妊や感染の原因になりうる.ダイラパン使用および抜去にはその適応も含め細心の注意が必要である.また掻爬後少なくとも数回の診察で遺残のないことを十分確認することも重要であると思われる.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.