今月の臨床 妊婦の糖尿病マネジメント
スクリーニングと診断
2.糖尿病管理目標の設定と運用
原田 直哉
1
,
森川 肇
1
1奈良県立医科大学産婦人科
pp.142-146
発行日 1996年2月10日
Published Date 1996/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902410
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
妊娠初期の血糖のコントロールが不良であると胎児の先天奇形が高率に発生するし,また初期から中期にかけての血糖値が持続的に高値であると巨大児,子宮内胎児死亡,周産期合併症などの頻度が高い.一方,糖尿病を合併した母体では糖尿病性網膜症,妊娠中毒症,肩甲難産などが多い.したがって,妊娠時の糖尿病管理の上で最も重要なことは,妊娠が成立する前に血糖レベルをコントロールしておくことであり,もしコントロール不良であるとか糖尿病の合併に気づかれていない場合には,妊婦健診で初診した際にできるだけ早くに診断し,十分な管理を開始しなければならない.
ところで,妊娠時には胎児の存在や同化・異化ホルモンの分泌動態の変化などにより,母体の糖脂質代謝は大きく変わるので,それらを念頭にいれて糖尿病の診断とその病態を把握しなければならず,とくに妊娠経過に伴う糖代謝動態の変化を正確に判断することは難しい.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.