今月の臨床 いまなぜ“胎児仮死”か
仮死分娩児の予後評価はどう変わってきたか
志賀 清悟
1
,
柴田 隆
1
1順天堂伊豆長岡病院新生児センター
pp.1594-1598
発行日 1995年12月10日
Published Date 1995/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902349
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仮死とは低酸素症によって引き起こされた呼吸循環不全を包括した症候群である.胎児のガス交換は胎盤であり,その胎盤からの酸素供給が何らかの原因で障害されると胎児仮死に陥る.また,新生児仮死は出生直後に発症する呼吸循環不全を主徴とする症候群とされ,分娩時の低酸素症がその原因とされている.分娩時の低酸素症が分娩前の胎児仮死に引き続いていることも多い.よって,仮死分娩児の予後を考える場合,胎児仮死,新生児仮死を区別して論じることは困難なこともある.いずれにしても低酸素症は多臓器に影響を及ぼすが,とりわけ中枢神経系への影響は重大であり,脳性麻痺,精神発達遅滞,けいれんなどの神経学的後障害として児の将来に影をおとすこととなる.中枢神経障害でとくに予後に関係するのは,低酸素性虚血性脳障害と頭蓋内出血である.この稿では,中枢神経障害による神経学的後障害を中心とした仮死分娩児の予後評価について述べる.
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