今月の臨床 母体救急
母体救急―対応の実際
5.羊水塞栓症への対応
木村 聡
1
,
杉村 基
1
,
金山 尚裕
2
1浜松医科大学周産母子センター産科
2浜松医科大学産婦人科
pp.730-733
発行日 2007年5月10日
Published Date 2007/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101389
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羊水塞栓症とは
羊水塞栓症(amniotic fluid embolism : 以下,AFE)は周産期領域において妊産婦死亡を起こす主要な疾患である.現在の妊産婦死亡率は1万分娩に1例以下と減少しているが,そのなかで第1位は産科的塞栓症である.産科的塞栓症には肺血栓塞栓症(PTE)とAFEがあるが,PTEに対しては血栓症予防ガイドラインがあり,予防策が講じられていることもあってPTEによる死亡例は現在減少傾向にあるといわれる.しかし,AFEに対しては原因がいまだによくわかっていない部分も多いため,定まった診断法や治療法が確立していない.そして,ひとたび発症すると死亡率は60~80%と高率であり,その原因の究明と対策はわれわれの大きな課題である.
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