今月の臨床 婦人の尿失禁—トラブルへの対処
尿失禁を治療する
18.手術療法—1 経腟
下浦 久芳
1
1下浦産婦人科医院
pp.1278-1285
発行日 1995年9月10日
Published Date 1995/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902276
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腹圧性尿失禁stress urinary incontinence(以下SUI)を経験する婦人は本邦においても案外多い.本人にとって気にはならないsubclinicalのものが大部分であるが,重症の尿もれは患者のQuality of Lifeに影響を与える.真性SUIは解剖学的SUIともいわれ,近位尿道と膀胱頸すなわち尿道膀胱移行部urethro-vesical junction(以下UVJ)の支持の欠如を特徴とする.支持の欠如はいわゆる尿道脱として単独で起こることもあるが,しばしば膀胱脱を含む各種性器脱を伴う.著明な膀胱脱のためにSUIが潜在化し,尿道の屈曲により排尿困難や尿閉さえ起こる.下部尿路機能の回復は性器脱修復術の主目的の一つであり,臨床的に重要な課題である.
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