今月の臨床 体外受精マニュアル—新しく始める人へのアドバイス
体外受精の合併症とその対策
6.染色体分析
吉澤 緑
1
1宇都宮大学農学部
pp.1113-1118
発行日 1995年8月10日
Published Date 1995/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902234
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●はじめに
ヒトの自然流産胎児において染色体異常の出現率が高いこと,とくに発生ステージの早い初期胚ほど,より高い出現率を示すことはよく知られている.さらに,近年汎用されつつある体外受精により得た初期胚において,染色体異常の出現率が高いことがマウス,ウシ,ヒトなどにおいて報告されている.これらの染色体異常のほとんどは流産に終わると考えられることから,体外受精胚の正常性について染色体の観点から明らかにしておく必要があると考えられる.また,体外受精においては諸条件の設定が人為的に可能であることから,胚の染色体異常の出現率に影響する条件を明らかにすることによって,染色体異常の胚の出現率を低下させることができると考えられる.
研究上,医療上の目的のために初期胚の染色体を調べるには,染色体標本を作製する必要がある.本項では,初期胚の染色体標本作製法と標本作製に際して留意すべき点について述べる.
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