特集 新生児の臨床検査
染色体の分析
菊池 康基
1
Yasumoto Kikuchi
1
1国立遺伝学研究所人類遺伝部
pp.887-892
発行日 1966年11月10日
Published Date 1966/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203586
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はじめに
数年前まで研究が非常に困難であつた人間の染色体も,最近では,末梢血のなかの白血球,骨髄細胞,あるいは皮膚組織の細胞などを用いて,容易に研究をおこなうことができるようになつた。これには,組織培養法,標本の作成法など,染色体研究のための技術の進歩に負うところが大きい。こうして人間の染色体に関する研究は,1959年以降,ここ数年のあいだにめざましい発展をとげたのである。
人間の染色体数が46であることはすでに明らかな事実であるが,さらに,いままで原因不明とされていた,いくつかの先天性疾患が染色体の異常によつて起こることも明らかにされた。 このようにして人間の染色体異常についての研究は,人類遺伝学,あるいは臨床医学と提携して先天性疾患の診断や,その発生原因を解明するために大きな役割をになつている。
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