今月の臨床 安全な産科手術・処置をめざして
分娩後の手術・処置における安全対策
会陰・腟壁・頸管裂傷の縫合術
下屋 浩一郎
1
,
村田 雄二
1
1大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(産科学婦人科学)
pp.867-869
発行日 2005年6月10日
Published Date 2005/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100348
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はじめに
かつて分娩は,女性にとって生涯を通じて最も生命の危険に曝されるイベントであった.輸血,抗生物質の使用,麻酔法の確立などを通じて母体死亡は著しく減少したが,分娩の進行状況によって,いかなる場合にも産道損傷は起こりうる.産道損傷には会陰裂傷,腟壁裂傷,頸管裂傷がある.会陰裂傷には腟壁裂傷が合併することが多い.本稿では産道裂傷の縫合術における安全対策について論じる.
初産婦,経産婦にかかわらず,分娩の進行状況によって産道損傷は発生しうる.産道損傷には子宮頸管裂傷,腟壁裂傷,会陰裂傷があり,急遂分娩を行った場合などに発生しやすい.大きな裂傷が予測される場合には会陰切開を行うことも重要であるが,同時に産道損傷の修復に関して習熟しておくことも重要である.
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