原著
十代の若年女性にみられる月経周期異常に対する臨床検討と漢方薬による治療—虚証例への随証療法の成績
後山 尚久
1
,
坪倉 省吾
1
,
池田 篤
1
,
植木 実
1
,
杉本 修
1
1大阪医科大学産婦人科
pp.651-655
発行日 1995年5月10日
Published Date 1995/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902135
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十代の月経周期異常36例に対し,その発症に関わる要因の分析と漢方薬による治療成績から,若年女性への漢方療法の臨床的有用性について検討した,月経周期異常で最も頻度の高いのは第2度無月経例であり,全体の過半数(55.6%)を占めた.発症要因として,要因不明が47.2%にみられたが,体重減少を伴ったものが38.9%,心理的ストレスの存在が25.0%に観察された.
全症例に対し,随証療法による漢方治療を行った.温経湯,当帰芍薬散,あるいは芍薬甘草湯の投与により,有意の下垂体性ゴナドトロピン分泌増加(FSH;86.1%,LH;69.4%),およびエストラジオール分泌増加(77.8%),さらに比較的高い排卵成績(66.7%)が得られ,副作用は認められなかった.これらから,体重減少やストレスなどによる第2度無月経症が多くみられる十代の月経周期異常の治療法のひとつとしての漢方療法の臨床的有用性は非常に高いと考えられる.
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