特集 月経異常とその診断
月経周期と月経量の異常—その定義に関する提案
田中 良憲
1
Yoshinori Tanaka
1
1岡山大学医学部産婦人科教室
pp.151-154
発行日 1970年2月10日
Published Date 1970/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204167
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
われわれは日常の診療において,これは月経であるとか,これは機能性出血であるとか,きわめて無雑作に子宮出血を区分して表現している。しかし研究発表や講義などに際し,月経異常を系統的,論理的に整理して述べなければならない場合,困惑を感ずる人が多いのに違いない。何故ならわれわれは月経異常の諸型の表現に当つて,直感的に医学生の頃講義で習い,また医局で習慣的に使用している諸分類にあてはめるのが常であるが,実はそれらの分類は定義がきわめてあいまいであるのみならず,分類の根拠として現象面や原因論など,異なれる次元のものが混在しており,系統的でない所に原因があるものと思われる。
付図は今日最も広く採用されている(と想像した)月経異常の型をMartiusの婦人科書から引用したものである。無月経,正常月経,過多月経,頻発月経,過多頻発月経,過小稀発月経の1群に対比するにMetrorrhagieとMenorrhagieの群をもつてしており,一見わかりやすく,系統的であるかのごとき印象を与えている。しかし1例をあげれば日常よく見受けられる月経前や月経後に小量の出血が持続するタイプは何処にはめ込んだら良いのか,またいわゆる出血メトロパチーはどれに分類されるのか判断に苦しむ所である。
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.