今月の臨床 妊娠と血液
血液型不適合妊娠
16.同種免疫の防止
中村 幸夫
1
1国立弘前病院産婦人科
pp.618-619
発行日 1995年5月10日
Published Date 1995/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902125
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ある種の血液型に関して,母親が陰性で胎児が陽性の場合,これを血液型不適合妊娠という.ちなみに,胎児の血液型は両親の血液型遺伝子により決定されるため,夫婦間の血液型不適合が当然その前提となる.理論的には,すべての赤血球抗原について不適合の組み合わせがあるため,むしろ血液型適合妊娠であることがまれとさえ考えられる.
しかし,血液型不適合妊娠であっても,それが原因で溶血性疾患(hemolytic disease of thenewborn:HDN)が発生しなければ,病的な意義はない.現在まで,重症のHDNを起こすものとして,Rh式血液型を初めとする20以上の赤血球抗原が報告されている.本稿では,臨床的に最も重要なRh式血液型(D)不適合妊娠を中心として,同種免疫の防止について述べる.
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