境界領域
同種移植組織拒否反応の免疫細胞学
花岡 正男
1
Masao HANAOKA
1
1京都大学ウイルス研究所病理部
pp.1106-1116
発行日 1967年11月25日
Published Date 1967/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904322
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まえがき
マウスなど哺乳類の同種動物間で皮膚を移植すると,ほぼ10日前後で移植片は排除(reject)される.さらにその同じ動物に,同じdonor(または近交系動物であれば同系動物)の皮膚を再び移植すると,5〜6日後に排除されてしまう.この際,第2回目の移植を,第1回目のそれより離れたところに行なつても,その反応に変りはない.また,第2回目に,第1回目のdonor(またはdonorの系)と異なる個体の皮膚を同種移植しても,前記のごとき生着期間の短縮は起らない.さらに,この反応は同種皮膚に限らず,角膜など特殊の組織を除いたどの組織または細胞に対してもみられる.これらの所見は個体の同種移植における拒否反応が,特異性をもつ全身反応で,第2回目には反応の捉進がみられることを示しており,それが免疫反応であることが分る.すなわち,雑系動物の固体間(一卵性双生児を除く)あるいは近交系動物の系の間のそれぞれの細胞に,抗原性の差があるということになる.
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