今月の臨床 妊娠と血液
血液疾患と妊娠・分娩
12.ITP
小林 隆夫
1
1浜松医科大学産婦人科
pp.602-605
発行日 1995年5月10日
Published Date 1995/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902121
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特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は自己免疫性血液疾患の一つで,骨髄での血小板の産生障害がなく,末梢での血小板破壊の亢進が血小板減少の原因と考えられるものをいう.その機序は,ある血小板膜抗原に特異的に結合した抗体(IgG)がそのFc部分で網内系(マクロファージのFcレセプター)に取り込まれることにより,血小板減少が引き起こされると考えられている.
ITPには急性型と慢性型がある.急性型は小児に多く,自然治癒することが多いが,慢性型は成人ことに女性に多く,自然治癒することは少ない.慢性型のITPは若年婦人に好発するため,妊娠との合併が多く,産科医が最も遭遇しやすい血液疾患である.表1にその診断基準を示す.
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