今月の臨床 妊娠と免疫
自己免疫疾患合併妊娠
2.ITP
佐世 正勝
1
,
竹谷 俊明
2
1山口大学医学部附属病院周産母子センター
2山口大学医学部生殖・発達・感染医科学講座(産科婦人科)
pp.1077-1081
発行日 2003年8月10日
Published Date 2003/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100861
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診 断
特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura : ITP)の診断基準を表1に示した.血小板が単独で10万/μl以下であることが必須条件である.また診断のためには,SLE,リンパ腫,白血病,多くの全身性疾患を除外しなければならない.ITPは,妊娠前から存在するものと妊娠中に発症あるいは診断されるものがある.ITPと診断されていた女性において,妊娠が再燃のリスクを増加させるという根拠はなく,また活動期にある女性において状態を悪化させるという根拠もない.しかし,何年間も寛解状態にある女性において妊娠中にITPが再発することも稀ではなく,これには妊娠中の高エストロゲン血症の関与が考えられている.
寺尾1)は,妊娠継続許可基準として,ITPを妊娠前に発症し寛解中に妊娠した場合には妊娠継続は可能とし,非寛解のまま妊娠した場合には妊娠中にITPのコントロールがさらに困難になることが多いため妊娠の継続は不可としている.ただし,人工妊娠中絶の際に大量に出血する危険性があり十分な注意を要する.ITPが妊娠中に発症した場合には,妊娠初期発症の重症例あるいは薬剤不応例を除き,一般的には妊娠継続可能としている.
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