特集 治療最新のトピックス
周産期
ITP合併妊娠の薬物療法
坂田 寿衛
1
,
正岡 直樹
1
,
高木 繁夫
1
,
佐藤 和雄
1
Hisae Sakata
1
1日本大学医学部産科婦人科学教室
pp.1162-1164
発行日 1989年12月10日
Published Date 1989/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208129
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Ⅰ.概念
ITP (ldiopathic thrombocytopenic purpura)は血小板減少を惹起する原疾患(再生不良性貧血,白血病,放射線障害,薬物,化学物質など)を認めることなく,成因不明の血小板滅少をきたす疾患とされてきたが,その後,患者血中に血小板に結合している抗体PAIgG,また血清中に血小板と反応するfreeの抗体PBIgGが証明されて以来,自己免疫機能による脾・網内系での血小板の捕捉,処理の増大が本症の病態として注目されている。
ITPの診断は表1に示したが,紫斑(点状,斑状皮下出血),粘膜出血(鼻,歯銀出血,血尿,過多月経)などの出血傾向を主訴とし,検査上,出血時間延長,毛細血管脆弱性亢進,血餅退縮不良が認められる。失血のある場合を除き貧血はなく,また脾腫は通常触知されない。骨髄は低形成を示さず,骨髄巨核球は正常ないし増加している。
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