今月の臨床 妊娠と血液
血液疾患と妊娠・分娩
13.再生不良性貧血
小林 隆夫
1
1浜松医科大学産婦人科
pp.606-607
発行日 1995年5月10日
Published Date 1995/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902122
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骨髄の低形成または無形成によって赤血球,顆粒球および血小板の産生が低下するため,汎血球減少症となり,貧血症状,感染,出血傾向をきたす疾患である.原因としては遺伝性,薬物,放射線,感染,妊娠などがあげられる.
本症の診断基準を表1に示した.出血傾向を伴う貧血で,汎血球減少を認め,骨髄穿刺で有核細胞数の減少を認めたら,本症を疑う.一般に血清鉄は上昇し,不飽和鉄結合能は低下する.重症度の判定は表2の基準に従うが,山田らのt—スコア(表3)が予後との関連および治療の適応選択に有用である.対症療法として洗浄赤血球や血小板輸血,感染に対する抗生剤等の投与が行われる.骨髄機能の回復のために,蛋白同化ステロイド,副腎皮質ステロイドの投与が行われ,また,免疫抑制剤の投与や,最重症の場合は骨髄移植も有効である.
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