今月の臨床 病態生理の最前線—臨床へのフィードバック
生殖・内分泌
3.不育症
山田 秀人
1
,
佐々木 隆之
1
,
香城 恒麿
1
,
藤本 征一郎
1
1北海道大学医学部産婦人科
pp.397-403
発行日 1995年4月10日
Published Date 1995/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902085
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●はじめに
習慣流死産は日常の産婦人科臨床上,全体の患者数に占める割合はけっして高いとは言えない.現在までの国内外のデータに基づくと,顕性妊娠のうち10〜15%が流産に至るとされており,この流産率から3回連続して流産する確率を求めると0.1〜0.34%の頻度で習慣流産の症例が生ずることになる.しかし,産婦人科外来妊婦のうち,約1%が習慣流産症例であるという報告があり,偶然ではない何らかの器質的,または機能的病因を有する疾患群が存在することは確かである.
しかしながら,その病因は,例えば染色体異常,内分泌異常,子宮奇形,自己免疫疾患などに代表されるように複雑かつ多様であるという問題点が存在する.また,現在可能な精査を可及的に行っても,その約半数が原因不明である.この理由の一つには習慣流死産症例のなかに確たる病因のない症例,つまり胎児側因子による偶発的な流産を単にくり返した症例や,現在一般的に行われている検査法では同定が不可能な病因を持つ症例が混在しているためと思われる.
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