原著
糖尿病合併妊婦におけるカルシウム代謝の検討
小原 範之
1
,
武内 享介
1
,
上田 康夫
1
,
森川 肇
1
,
望月 眞人
1
1神戸大学医学部産婦人科
pp.355-359
発行日 1995年3月10日
Published Date 1995/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902079
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糖尿病合併妊婦のカルシウム(Ca)代謝動態および新生児低Ca血症の発症について検討した.対象は糖尿病(diabetes mellitus:DM)合併妊婦11例,妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus:GDM)妊婦4例,腎性糖尿合併妊婦1例であり,新生児はDM合併妊婦から出生した児4例とGDM妊婦の児1例である.DM合併妊婦はインスリン治療と食事療法を行い,GDM妊婦は食事療法のみを行った.
正常妊婦やGDM妊婦に比し,DM合併妊婦の尿中Ca/Cr比と血清PTH-Cは高値,血清CTは差がなく,血清1α,25(OH)2D3は低値であった.また,平均血糖値の低下に並行して尿中Ca/Cr比が低下した.血清総Caが妊娠中期から減少したDM合併妊婦の新生児に低Ca血症の発症がみられた.以上より,DM合併妊婦には高Ca尿症や血清1α,25(OH)2D3の低値のためにCa平衡が負のバランスに傾いていることが明らかになった.また,母体の血清総Caの減少は新生児低Ca血症の発症に関与している可能性が推測された.
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