今月の臨床 CTかMRIか—婦人科腫瘍読影のポイント
卵巣腫瘍
11.卵巣癌の診断と進展度
早田 隆
1
,
廣田 佳子
1
,
宮川 勇生
1
1大分医科大学産婦人科
pp.88-98
発行日 1995年1月10日
Published Date 1995/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902016
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CTかMRIか
画像診断が婦人科腫瘍学に及ぼした影響は大きい.なかでも人体の横断面(例えばCT)による画像は腫瘍のマクロ的全体像を教えてくれる.縦断像(例えばMRI)は全身における腫瘍の位置および臨床への更なるインパクトを与えてくれた.
超音波診断の発達した今日でも,CT, MRIに頼る場合が少なくない.われわれは原則としてCT, MRIの両画像を検討し卵巣腫瘍の診断と進展度を検討している.できればエンハンス前後のCTを検討し,必要に応じMRIはT1,T2,プロトン密度強調画像(PD),時に造影像,を用意する.その際,診断にはCT横断像を重視するが,進展度にはMRI矢状断,冠状断像が有用である感がある.いずれにせよ,腫瘍充実部断面の濃度変化の度合いは嚢胞部位液体の診断ほど便利でない.嚢胞壁の不整や肥厚はCTが得意で,膀胱,直腸などの周囲臓器との関連はMRIがよいようである.また,リンパ節の同定はCT造影血管を参考にするとよい.
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