今月の臨床 婦人の尿失禁—トラブルへの対処
尿失禁を診る
7.術後尿失禁
浜田 雄行
1
1愛媛大学医学部産婦人科
pp.1242-1246
発行日 1995年9月10日
Published Date 1995/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902265
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婦人科手術後の尿失禁としてとくに問題となるのは,子宮悪性腫瘍に対する根治術として用いられる広汎性子宮全摘出術である.この術後には高率に尿意の喪失,排尿困難,尿失禁,頻尿,尿意切迫感などの排尿障害が生じ,治療後の患者のquality of lifeを低下させる重要な一因となっている.植物神経温存法さらに準広汎性子宮全摘出術による縮小手術の採用などにより予防が試みられているが,いまだ術後の排尿障害は高率に認められている.また,広汎性手術後の放射線追加照射によりこの排尿障害は修飾されさらに重症となる.高齢化社会の到来,子宮癌患者の治療成績の向上および癌治療患者の高齢化により,広汎性手術後さらに照射後における排尿障害は,現在一般的な尿失禁,頻尿を有する疾患領域においても重要な位置を占めるに至っている.
urodynamic study(UDS)を用いて広汎性手術後さらに照射後における排尿障害について尿流量力学的な検査を行い,本症例に対する有効な治療法を確立するため種々の内科的保存療法を試みたので報告する.
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