Japanese
English
特集 初療の要点
創傷
Managements of surgical wound
由良 二郎
1
Jirô YURA
1
1名古屋市立大学第1外科学教室
pp.50-54
発行日 1968年1月20日
Published Date 1968/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204494
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はじめに
創傷治療は,外科療法におけるもつとも基本となるもので,昔より先人がいろいろ検討を重ねて来たところであるが,医学の進歩発達した今日においてもその根本となるものはなんら変るところはない.
ただ優秀な消毒剤,化学療法剤の出現,あるいはこれにともなう起炎菌の変遷,出血ショック対策,ならびに血管吻合,移植技術の進歩等によつて治療法,治療成績にある程度の変化が見られることはいうまでもない.この創傷治療にかんしては本年度の臨床外科医会総会において鬼束教授によりシンポジウムとして取りあげられ,一般の術後創感染の実態とその対策,小児外科領域での創感染とその予防,創傷の理学的療法特に温泉浴にかんして あるいは火傷創の3色素療法,同種あるいは異種植皮の技術,肝臓レ線照射と全身抵抗力増進による治療,創傷治療の過去と現在あるいは将来等にかんし多角的にいろいろ討議されたところである.筆者も小児外科の立場からこのシンポジウムに参加し,小児特に新生児・乳児の感染症,術後感染の特異性ならびにその起炎菌の動態について論じ,小児における術後の創傷感染予防対策に関して報告したところである.そこでここに創傷に対する初療とくに化学療法に関する問題点について教室の成績を中心として述べると共に,創傷治療に対する現在の趨勢についても2,3つけ加えるしだいである.
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