今月の臨床 婦人科医のためのオステオポローシス
治療と予防
骨増加療法
25.ビスフォスフォネート
竹内 靖博
1
1東京大学医学部第四内科
pp.1146-1148
発行日 1994年9月10日
Published Date 1994/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901890
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骨粗鬆症患者では,骨吸収と骨形成の平衡が崩れ,骨吸収が優位となることにより骨量の減少が進行する,したがって,骨粗鬆症の治療に当たっては,骨吸収を抑制する薬剤と骨形成を促進する薬剤とを,個々の症例の病態に応じて適切に使い分ける必要がある.とくに,閉経後間もない場合や,両側卵巣摘除後の女性では骨吸収が顕著に亢進しており,骨吸収の抑制を目標とした治療が主体となる.現在のところ,カルシトニンやエストロゲンなどがこのような目的で治療に用いられているが,カルシトニンは注射であること,エストロゲンはその本来のホルモン作用や子宮体癌発症の危険,さらに高齢者への投与の是非の問題などから,わが国では広く用いられるには至っていない.最近,骨基質に高い親和性を持ち,強力な骨吸収抑制作用を発揮する物質としてビスフォスフォネート(bisphosphonate)が開発され,骨粗鬆症への臨床応用が始まりつつある,そこで本稿では,ビスフォスフォネートの概要とその臨床応用へ向けての現状を概説する.
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