症例
巨大卵巣粘液性嚢胞性腫瘍の1例
吉田 壮一
1
,
板持 広町
1
,
片桐 千恵子
1
,
関島 秋男
1
,
石原 浩
1
,
皆川 幸久
1
,
紀川 純三
1
,
寺川 直樹
1
1鳥取大学医学部産科婦人科
pp.1049-1051
発行日 1994年8月10日
Published Date 1994/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901863
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腫瘍重量30kgを超える巨大卵巣腫瘍はきわめてまれであり,本邦では今までに7例の報告を数えるのみである.腫瘍重量44kgの巨大卵巣粘液嚢胞性腫瘍境界悪性の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は38歳の主婦で,腹部膨満感,軽度の呼吸障害ならびに歩行障害を主訴として来院した.術前検査において,CAI25,CA72-4,CA19-9,シアリルLEX抗原の腫瘍マーカーの軽度上昇を認めた.腫瘤が巨大なために,MRI,CT,超音波断層法を用いた画像診断による腫瘍全体の性状判定は困難であった.
手術に際しては,腫瘤摘出による血圧変動にそなえて,左側臥位で手術を開始し,腫瘤摘出後に仰臥位とした,術後合併症として,再拡張性肺水腫や起立性低血圧などが挙げられているが,本症例の術後経過は順調であった.
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