原著
黄体性卵巣出血の保存的療法—116例の臨床的検討から
村尾 寛
1
,
金城 国仁
1
,
上村 哲
1
,
高橋 慶行
1
,
橋口 幹夫
1
,
稲福 恭雄
1
1沖縄県立中部病院産婦人科
pp.568-572
発行日 1994年4月10日
Published Date 1994/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901722
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黄体性卵巣出血の治療法には,全例開腹止血する意見と,保存的療法を行う意見がある.当院では20年前より一貫して保存的療法を行ってきた.今回われわれは,保存的療法の再評価を目的として,①保存的療法が奏効せず開腹止血に至る割合について,②保存的療法後,腹腔内に残っだ血液による癒着形成の有無について,の2点の検討を行った.
①については,過去8年間に当院で保存的療法を行った103人の内,出血量の増大で開腹となったのは6人のみで,97人(94%)は保存的療法が成功した.そして②については,過去に黄体性卵巣出血に罹患した際,当院で保存的療法が行われ,今回別の疾患で開腹された患者8人を検討した所,癒着がある者は0人だった.しかし,以前同疾患に罹患した際,他の施設で開腹止血が行われた患者10人の中では,今回開腹時9人に癒着が見られた.以上の結果より,黄体性卵巣出血は保存的療法が有効であることが,改めて確認された.
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