シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編
肺癌の遺伝子診断
高橋 和久
1
,
高橋 史行
1
,
福地 義之助
1
Kazuhisa TAKAHASHI
1
,
Fumiyuki TAKAHASHI
1
,
Yoshinosuke FUKUCHI
1
1順天堂大学医学部呼吸器内科
キーワード:
肺癌
,
癌遺伝子
,
癌抑制遺伝子
Keyword:
肺癌
,
癌遺伝子
,
癌抑制遺伝子
pp.342-346
発行日 1999年3月15日
Published Date 1999/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904032
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はじめに
原発性肺癌は,現在もなお根治的治療法が確立していないため,男性の癌死亡率の第一位と予後の極めて悪い悪性腫瘍である.肺癌の特徴はその組織型が多様であり,腫瘍の好発部位,治療に対する反応性が多彩であることが,その病態の解明を複雑なものにしている.しかし,近年の目覚ましい分子生物学の進歩により,肺癌は,表1に示すような癌遺伝子や癌抑制遺伝子の異常の蓄積によって発生,進展することが明らかになってきた1).実際,臨床医学の現場においても,さまざまな疾患の診断にその分子生物学的手法が応用されている.本稿ではまず,肺癌で比較的高率に認められる遺伝子異常について概説し,肺癌の遺伝子診断の現状と,将来の遺伝子診断の可能性と応用について述べてみたい.
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