産婦人科クリニカルテクニツク ワンポイントレッスン
広汎性子宮全摘出術に使用する大曲り鉗子
杉森 甫
1
1佐賀医科大学
pp.207
発行日 1994年2月10日
Published Date 1994/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901625
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広汎性子宮全摘術において,最も注意を要する部位として以前は基靱帯の切断・結紮が挙げられていたが,基靱帯血管の状態が十分把握され,それらを分けて切断・結紮するようになってからは,同部位も安全に処理できるようになっている.CUSAを使用すれば一層容易であるし,近年では血管部と神経部とに分け,神経温存術式も盛んである.
現在,ある程度の集束結紮を行っているのは腟労結合織paracolpiumの処理である.膀胱ならびに尿管を膀胱圧抵器や側板などで強く恥骨側に圧排して膀胱側腔を広く開け,子宮および基靱帯断端などを上方に牽引すると,腟管と腟旁結合織が伸展して露出される.ここで腟労結合織を挟鉗するのには,できるだけ滑脱しないような鉗子が必要である.筆者が使用しているのは3列の縦溝をもつ鋸歯状鉗子である.米国でMasterson鉗子,わが国では婦人科用万能鉗子として市販されているものと同様の構造にしている,骨盤深部での操作であるから21cmの長さがあり,腟旁結合織を腟管に直角に切断出来るよう直角に湾曲しているので,大曲り鉗子と称している,把持がしっかりしているので先端の鉤は不必要で,むしろ余分の組織損傷を避けるために無い方がよい.
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