今月の臨床 不妊症はどこまで治せるか
ARTクリニック
16.スズキ病院
飯田 修一
1
,
鈴木 雅洲
1
1スズキ病院
pp.172-173
発行日 1994年2月10日
Published Date 1994/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901612
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最近,不妊症に新しい治療手技が導入されるようになり,不妊症患者における妊娠成功率に大きな変化がみられるようになった.ヒトの発生・発達・成長の過程について考慮すると,これらの不妊症新治療は,現代医学の観点から見れば,一定の時期に限局して実施可能になったものと思う.この時期を図に示してみる.すなわち,現代の医学では,人為的に精子を作ったり,卵子を作ることはできない,また,卵子・精子を形成するために,DNAを合成することができない.現代の医療技術では,これ以後の過程に人為的操作を加えて,成立できなかった妊娠を成立させることになる.これと同様に考えると,着床以後の過程を人為的に作ることはできない.すなわち,現代の医学では人工器官(臓器)の作成が不可能だからである.そればかりでなく,不妊症の治療として卵管・卵巣・子宮などの器官の臓器移植による妊娠の成立がいまだ人類において実現不可能だからである.
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