今月の臨床 不妊症はどこまで治せるか
ARTの動向と展望
1.ARTの動向と展望
森 崇英
1
,
神崎 秀陽
1
,
後藤 康夫
1
,
林 研
1
1京都大学医学部婦人科学産科学
pp.132-135
発行日 1994年2月10日
Published Date 1994/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901597
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体外受精がもたらしたもの
1978年7月,英国において初の体外受精児が誕生して以来15年が経過した.この間,体外受精・胚移植およびその関連技術,いわゆるassistedreproductive technology(ART)は急速な技術改良とともに全世界に普及し,現在では50か国以上で実施されている.
体外受精に関する研究の歴史は古く,体外受精第一児の出生にさかのぼることちょうど100年の1878年に,ウサギの体外受精が初めて試みられたことに端を発している.1952年AustinとChangがそれぞれ独立に精子の受精能獲得現象を発見して以来,研究面で急速な進歩があった.ヒト体外受精に関する研究については,GPincusが未熟卵の体外成熟に成功したことを嚆矢とする.その後一時中断の時期があり,1970年にケンブリッジのグループが再開してから9年後に第一児の成功となったわけである.
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