今月の臨床 エイジングと生殖医療
卵子提供によるART―世界の動向と展望
久慈 直昭
1
,
水澤 友利
1
,
浜谷 敏生
1
,
橋場 剛士
1
,
末岡 浩
1
,
吉村 泰典
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科
pp.1393-1395
発行日 2006年11月10日
Published Date 2006/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101313
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はじめに
年齢上昇などによる卵子自体のエイジングによって不妊治療が成功しないカップルにとって,卵子提供は最後の希望となる.欧米ではTurner症候群など若年の卵巣不全症例の治療として臨床応用が始まり,これまで技術的な面以外にも,提供者のリクルート,高年齢の女性に本法を応用した場合の産科的リスク,そして匿名性に関する問題や,提供者を得ることが難しい卵子提供で特に問題となる姉妹間の卵子提供などについて,さまざまな検討が行われてきた.わが国でもARTの普及とともに,体外受精を基礎技術とする本治療に対するクライアントの意識も変化し,海外へ治療を求めて渡航する夫婦も多い.本稿では,臨床医にとって身近となった卵子提供について,海外で指摘されているこの治療の問題点を概観し,この治療を希望するカップルに医師が説明する際,特に留意すべき点を考察する.
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