今月の臨床 胎児環境をチェックする
臍帯
28.胎内輸血の適応と実際
是澤 光彦
1
Mitsuhiko Koresawa
1
1神奈川県立こども医療センター周産期医療部
pp.1352-1353
発行日 1993年11月10日
Published Date 1993/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901524
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胎内輸血の適応
胎児治療については,胎児への薬物療法と外科的療法が考えられる。薬物療法のうち,胎盤を通過できるものは,原則として母体に投与し胎児への移行を期待するのが,最も安全な方法である。母体へ投与する薬物量が母体にとって過剰であったり,移行量が少ないという不利な点があるものの,まず母体投与を考え,不十分な場合に胎児直接投与を考える。ところが,もともと胎盤を通過しないものを胎児へ投与しようとすると,最初から胎児への直接投与を考えなければならない。この代表的なものとして,輸血がある。
胎児輸血は,Rh不適合のように子宮内で溶血を起こし,胎児貧血が進み,子宮内胎児死亡を起こす疾患について,唯一絶対の治療法として開発された。一番はじめに胎児輸血を始めたのは,Lily AW (1963)で,この時には,胎児血管内への投与は不可能であったので,胎児の腹腔内への輸血であった。その後,フェトスコープ法により,臍帯血管へアプローチすることが可能となり,さらに超音波による誘導による臍帯穿刺法の開発により,より安全な手技となってきている。
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