REVIEW & PREVIEW
胎内環境と慢性疾患
佐藤 有紀
1
,
柳田 素子
1
1京都大学大学院医学研究科腎臓内科学講座
pp.1984-1986
発行日 2014年10月10日
Published Date 2014/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200048
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最近の動向
慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)や高血圧,糖尿病などの生活習慣病の患者数が世界規模で増加している.これらの領域は精力的に研究が行われ,発症に関わる危険因子や病態メカニズムも徐々に明らかにされている.しかし,一部の危険因子はコントロール可能な段階にまで達しているにもかかわらず,患者数は増加の一途をたどっている.
コントロールできない要因の1つとして,近年,胎生期における栄養環境が成人での疾患素因を形成するという成人病胎生期発症仮説(developmental origins of health and disease:DOHaD仮説),および出生後の急速な追いつき現象(catch up growth)などが注目されており,遺伝的素因,生活環境に次ぐ第3の生活習慣病の発病に関わる危険因子として,その重要性が徐々に明らかにされている.本稿では,胎生期の栄養環境の重要性およびそれらが腎機能およびCKDの発症にどのように影響を及ぼすのかについて述べる.
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