今月の臨床 治療にてこずる感染症
難治性症例の経験
29.難治性腟真菌症
鈴木 正明
1
Masaaki Suzuki
1
1順天堂大学医学部産婦人科
pp.1116-1117
発行日 1993年9月10日
Published Date 1993/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901454
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産婦人科における真菌症は腟の真菌を中心として各種病態が形成され,回帰性を有する1)。真菌症の日常臨床においてたいせつなことは,本症が内因性日和見感染と性交感染という二面的性格をもっていることである。また,近年の傾向として主要な起因菌であるCandida albicans(C.alb)とCandida glabrata(C.gtab)の検出頻度が相対的に変化して,C.glabの増加傾向が認められ,このことが少なからず難治姓症例の増加に結びついていると思われる。
難治性素因としては,宿主要因と菌側要因がある。宿主要因としては,最も重要なものが抗生物質の頻回の使用(抗生剤によりLactobacillusの減少が起こり真菌の腟上皮細胞への侵入を容易にする)であり,その他にコントロールされていない糖尿病,エストロゲンやステロイドの長期療法,AIDSおよび局所のアレルギーなどがある。
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