今月の臨床 胎児環境をチェックする
羊水
23.羊水の補充療法(温生食充填灌流治療)
石川 薫
1
,
堀部 暢人
1
,
石塚 隆夫
1
Kaoru Ishikawa
1
1名古屋第一赤十字病院産婦人科
pp.1336-1338
発行日 1993年11月10日
Published Date 1993/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901519
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
臨床的意義と適応
妊娠26週未満のpreterm PROMに遭遇した際,従来のconservative managementのみで芳しい結果を得ることは難しい。因みに,図1は1986〜1988年のconservative managementのみに拠った著者らの施設のpreterm PROMの成績であるが1),妊娠26週未満のpreterm PROMでは16例中5例の生児を得たのみである。その所以は,①羊水過少や羊水内圧低下2)による胎児肺低形成(胎児肺の解剖学的発育は妊娠25週頃に完了する),②御し難い絨毛膜羊膜炎による超未熟児産(現在でも児のintact survivalを確信できるのは妊娠26週以降である),に求められる。この2つの点を解決しつつconservative managementを貫徹できることに,温生食充填灌流治療の臨床的意義がある。また,神経学的予後の悪い脳室周囲白質軟化症(PVL)の一要因として変動一過性徐脈が最近指摘されているが3),充填灌流治療は臍帯圧迫の解除という側面でも有益である。
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.