今月の臨床 ホルモン補充療法;HRT
HRTの実際
21.痴呆
本庄 英雄
1
Hideo Honjo
1
1京都府立医科大学産婦人科
pp.861-863
発行日 1993年7月10日
Published Date 1993/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901378
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わが国女性の平均寿命は1991(平成3)年度で82.11歳となり,Quality of Lifeの点からもアルツハイマー型老年痴呆(SDAT)は最重要課題の一つとなってきた。
SDATの症状は,中核症状(基底の脳病変を反映すると考えられる症状)と周辺症状(二次的に派生する精神症状群)に分けられる。中核症状は初期に記憶障害,ついで高次皮質機能障害,さらに人格の崩壊が積み重なっていく。周辺症状は幻覚妄想状態,抑うつなどの情緒障害,俳徊などの精神症状である。近年開発された脳代謝賦活剤,脳循環代謝改善剤の内SDATになんらかの機能改善をもたらすものはあるが,中核症状に対し著効をあげるものは見られていない。エストロゲンはこの中核症状,とくに記憶障害に対し効果をあげる可能性がありたいへん興味ある薬である。
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