今月の臨床 ホルモン補充療法;HRT
HRTの副作用
22.性器出血
小辻 文和
1
Fumikazu Kotsuji
1
1福井医科大学産科婦人科
pp.864-865
発行日 1993年7月10日
Published Date 1993/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901379
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近年のクオリティー・オブ・ライフの概念の台頭とともに更年期婦人に対するステロイドホルモン補充療法(HRT)が欧米を中心に広く試みられるようになった。この治療法の更年期不定愁訴,骨塩量減少,心血管異常に対する有効性に関してはすでに多くの成績が集積されているが,これに伴う不正性器出血は患者がこの治療を継続できなくなる最大の原因となっている。また治療を行う立場からは,子宮内膜の悪性変化が念頭をよぎるというまことに厄介な副作用でもある。
HRTの基本はエストロゲンの補充であるが,エストロゲンの単独投与は子宮内膜癌発生のリスクを上昇させ不正性器出血の頻度をも高める。この防止の目的でプロゲストーゲンが加えられるようになったが,なお不正性器出血の問題は解決されておらず,エストロゲン・プロゲストーゲンの投与法に工夫が凝らされつつある現状である。
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