原著
Quality of Life(QOL)からみた更年期不定愁訴例の検討と更年期外来の役割
後山 尚久
1
,
豊田 勝弘
2
,
杉本 修
1
Takahisa Ushiroyama
1
,
Katsuhiro Toyota
2
,
Osamu Sugimoto
1
1大阪医科大学産科婦人科
2藍野看護短期大学
pp.1497-1501
発行日 1992年12月10日
Published Date 1992/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901130
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更年期に不定愁訴で来院する精神疾患および更年期不定愁訴症候群のQuality ofLife(QOL)に及ぼす影響について検討した。
更年期不定愁訴例の7割以上が身体的な健康感の自覚の喪失,不定愁訴例のうち精神疾患の5〜8割,更年期不定愁訴症候群の約3割に情緒的な健康感の自覚の喪失がみられた。更年期での不定愁訴により,対人関係では友人との付き合いが減り,家庭内での会話にも影響を及ぼしている傾向がみられた。これらの例は通院治療により,身体的,情緒的な健康感は著明に回復し,友人との交流や会話も以前のようになった例が多くみられた。また治療により,社会へ貢献しているという気持ちも改善した。
更年期の不定愁訴例は,QOLの面から早期の心身医学的対応と適切な治療が必要であると考えられ,それにより,十分な改善が期待されると思われた。
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