原著
更年期不定愁訴例にみられるAgoraphobiaの臨床検討
後山 尚久
1
,
豊田 勝弘
2
1大阪医科大学産科婦人科
2藍野看護短期大学
pp.911-914
発行日 1994年7月10日
Published Date 1994/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901825
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
不定愁訴で産婦人科外来を訪れる更年期婦人には,精神症状としてAgoraphobia(外出恐怖あるいは空間恐怖;不安症状のために人の集まる場所に行くことができないというもの)のため生活上の不適応を起こし,Quality of Lifeが著しく低下している例がみられる.当院産科婦人科外来を不定愁訴で訪れた391名の婦人のうち,23例にAgora—phobiaがみられ(不定愁訴例の5.9%),10例はパニックディスオーダー(PD)からの続発であった.病前性格としては,失感情症的で「自己否定・他者肯定」的傾向であった.薬物療法はアルプラゾラムが中心で,PDの有無によりその平均改善月数はそれぞれ4.25±3」か月(PD有)および7.40±7.2か月(PD無)であった.
その治療には薬物療法と行動療法が原則であるが,他の更年期不定愁訴症候群同様,終始心身医学的対応が必要であると思われた.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.