原著
ヒト肝細胞増殖因子(hHGF)の周産期における動態—羊膜の役割
飯岡 秀晃
1
,
赤田 忍
1
,
島本 太香子
1
,
山川 嘉彦
1
,
阪本 義晴
1
,
森山 郁子
1
,
一條 元彦
1
Hideki Iioka
1
1奈良県立医科大学産婦人科
pp.1503-1505
発行日 1992年12月10日
Published Date 1992/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901131
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ヒト肝細胞増殖因子(hHGF)の周産期における動態について,羊膜の果たす役割を含めて検討した。hHGFの検討には酵素標識免疫測定法(ELISA)を用いた。
①妊娠婦人血清中のhHGF濃度は,非妊娠婦人と差異を認めず,また,妊娠経過とともに著明な変動は示さなかった。また,臍帯血清中の濃度は,正期産新生児では,成人よりやや低値を示した。②羊水中には,高濃度のhHGFの存在を認めた。羊水中のhHGFの濃度は血清中の濃度の約30倍の値を示した。③ヒト羊膜組織を用いた組織培養による検討により,羊膜組織には,hHGFの産生能を認めることが示された。
以上より,妊娠時には,血清中のhHGF濃度は変化しないことが示され,一方,羊水中には高濃度のhHGFが存在し,羊膜が,この羊水中に存在するhHGFの産生に関与していることが示された。
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.