今月の臨床 抗癌剤
投与方法
10.静注療法
井上 正樹
1
Masaki Inoue
1
1大阪大学医学部産婦人科
pp.1190-1192
発行日 1992年10月10日
Published Date 1992/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901031
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婦人科腫瘍の中で,早期発見が困難で,手術療法のみでは治癒困難なため,抗癌化学療法の役割がきわめて高い疾患は卵巣悪性腫瘍である。なかでも,cisplatinを基剤とした多剤併用化学療法は現在,卵巣悪性腫瘍の不可欠の治療法となっている。これらの一次効果のすばらしさは多くの基礎的,臨床的データにより証明されているが,長期予後に関しては必ずしも満足のゆく結果は得られていない。今日,長期予後改善をめざして,さまざまな試みがなされている。併用薬剤,投与量,投与ルート,投与期間,などの問題や,2ndlineの化学療法剤を何にするか,5—HT3受容体拮抗型制吐剤GCSFなど副作用軽減剤をどう使うか。Quality of Life,インフォームドコンセントをどうするかなど患者の精神面からのケアも要求されている。
われわれは,卵巣悪性腫瘍に関して静注療法が患者と医師両者にとって簡便で有効な投与法と考えQuality of Lifeの側面も考慮したCyclic-PAC化学療法を施行し,比較的良好な成績を得ている1)。
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