治療のポイント
静注用鉄剤
河北 靖夫
1
1熊大第二内科
pp.513-514
発行日 1966年4月10日
Published Date 1966/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201260
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鉄欠乏性貧血に対する鉄剤の効果については,異論はないが,治療の性質上,しばしば,長期の投与を必要とするため,より副作用のないことが望ましい。
古来,鉄剤として用いられてきたものは,主として内服であつたが,大量投与の場合,時に悪心,嘔吐,下痢などの副作用のため,内服に耐えられぬ症例や,まれではあるが,おそらくは鉄吸収障害のため効きにくい症例があるので,かなり以前から,鉄注射剤が要望されていた。しかし,鉄剤の注射は副作用を伴いやすく,また過剰投与による組織,器官の障害なども考慮せられて,まだ一般化するにはいたらなかつた。しかるに欧米では,近年コロイド鉄たるSaccharated iron oxide(Nissim,1947)が考案されて以来,比較的安全に,多量の鉄剤を静注で与えることが可能となり,その臨床的応用は急速にひろまつてきている。わが国においても,最近,いくつかの静注用鉄剤が市販され,ようやく応用の域にひろまりつつある。
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