今月の臨床 抗癌剤
効果判定法
9.腫瘍マーカーと画像診断
石川 睦男
1
Mutsuo lshikawa
1
1旭川医科大学産婦人科
pp.1187-1189
発行日 1992年10月10日
Published Date 1992/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901030
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腫瘍マーカーと画像診断は悪性腫瘍の診断には欠かすことのできない必須の検査手技である。その双方とも,最近の進歩にともないその特徴,長所,欠点を熟知して使用しないと判定を誤ることとなる。
腫瘍マーカーは癌細胞からのみ特異的に産生される物質ではなく,癌細胞がつくるか,または癌が体内にあることに反応して他の生体細胞がつくる物質の総称である。したがって,これらの物質を生体から検出することにより,癌の存在,部位,種類や進行度を示す指標を得ることが可能となる。マーカーの種類は,現在,癌胎児性抗原のほか,癌糖鎖抗原,癌関連酵素アイソザイム,ホルモンから,遺伝子と遺伝子産物まで含まれてきている。画像診断に関しては,現在使用されているものは,超音波診断,CT画像診断,MRIが代表的なものである。一般の臨床においては,このまったく異なる2つの方法を用いて,悪性腫瘍の早期診断,治療効果の判定,再発の予知を行っているわけであるが,両者の診断精度,特異度や不一致などが問題となる。本稿においては,主に卵巣癌を中心に,特異性の高いCA−125を中心とした腫瘍マーカーを取り上げ,画像情報として超音波,CT, MRIにつき,その臨床的意義を自験例を交えて述べる。
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