今月の臨床 排卵—誘発と抑制の実際
排卵メカニズム
5.排卵とモニタリング
本田 育子
1
Ikuko Honda
1
1東海大学医学部産婦人科
pp.1042-1044
発行日 1992年9月10日
Published Date 1992/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900991
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排卵の予知には,BBTや頸管粘液をみる方法,estrogenやLHの血中,尿中レベルをみる方法,超音波断層法などが行われるが,超音波断層法はコストも低く,くり返し検査が行え,その場で結果が得られるため,刻々と変化する卵胞発育,排卵過程を観察するのに適している。とくに複数個の卵胞が発育する過排卵周期では血中estradiol(E2)値が卵胞総体をみるのに対し個々の卵胞が観察できるため超音波断層法は不可欠であり,他の方法と組み合わせて,あるいは単独で汎用されている。さらに急速に普及した経腟走査法では個個の卵胞が正確に計測されるため,われわれも1986年より経腟走査で卵胞モニタリングを行っている。超音波卵胞モニタリングは,①AIHやIVF-ETのタイミング,排卵時期の予測,hMG—hCG療法時のhCG切り替えのタイミング,②OHSSの予測,③卵胞消失(排卵推定)の確認,④異常卵胞発育周期(黄体化未破裂卵胞など)の診断に有用である。卵胞モニタリングは自然周期か,過排卵周期か,卵胞の計測方法,複数個の卵胞の発育形態などを考慮して行う必要がある。
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