今月の臨床 排卵誘発の問題点—新しい工夫と対策
IVF-ET
5.排卵促進をしない採卵
福田 愛作
1
1IVF大阪クリニック
pp.824-829
発行日 2001年7月10日
Published Date 2001/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904385
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はじめに
体外受精胚移植法(IVF)の1978年における世界初の成功は自然周期より得られたことは良く知られている.本邦でもIVF黎明期には自然周期を用いた方法が行われていたが,現在ではGnRHanalogにゴナドトロピンを投与する卵巣刺激法により採卵を行うのが主流となっている.その背景には,より多くの卵子を得ることによってより高い妊娠率を,さらには凍結融解胚移植による妊娠も期待できるということがある.その一方でゴナドトロピン製剤の投与に伴うさまざまな負担,薬剤の長期的影響,そして何より卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の危険性は未だ解決されていない.また卵巣刺激に対するpoor responderについても排卵誘発に苦慮しているのが実情である.そこで卵巣刺激を行わない非刺激周期の体外受精の有用性が再認識されている.非刺激周期の体外受精のなかには従来の自然排卵を用いた体外受精(NC-IVF)と未熟卵を用いた体外受精(IVM—IVF)がある.NC-IVFの報告は散見されるが,IVM-IVFについては当院における本邦初の妊娠分娩成功まであまり目を向けられなかった.その理由として妊娠率の低さはもとより採卵の困難さなどがあったと思われる.そこで本稿では,われわれの行っているIVM-IVFの方法を中心に紹介するとともに,当院におけるNC-IVFについても参考として解説したい.
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