今月の臨床 妊娠と免疫
妊娠合併症と免疫—母児をどう扱うか
30.腎移植
東間 紘
1
Hiroshi Toma
1
1東京女子医科大学泌尿器科
pp.223-225
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900755
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腎移植の現状と腎移植患者の妊娠・分娩
わが国における慢性腎不全患者に対する同種腎移植は1964年に第1例が行われて以来,1990年12月末までに7,740回行われている。これは欧米諸国など世界的にみた場合,死体腎提供の不足など,主として社会的制約から米国の年間腎移植数にも及ぼない位の数字であり,わが国の全透析患者の1%にも満たない数ではあるが,年毎に腎移植数が増加していることは事実で,1989年度703例,1990年度は741例の腎移植が行われている。
腎移植患者の生存率は1年96%,5年92%以上と透析患者のそれを大きく上回り,移植腎生着率も1986年以降では1年92.9%,4年80.6%と大変良好な成績である。腎移植患者のQOLおよび社会復帰率も高く,95%以上の人がその健康状態に満足している。透析患者にみられる内分泌,性機能異常の大部分は腎移植後正常化し,女性腎移植患者の妊娠,分娩も決して稀なことではなくなっている。1983年以後に腎移植をうけた女性のうち,記載の明らかな1,441名についてみると,1990年末までに妊娠回数は延べ64回,出産回数は延べ47回と報告されている。
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