今月の臨床 計画妊娠—合併疾患への対応
循環器疾患
1.心弁膜症
三澤 卓夫
1
,
関口 守衛
1
Takuo Misawa
1
,
Morie Sekiguchi
1
1信州大学医学部第一内科
pp.1234-1236
発行日 1991年11月10日
Published Date 1991/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900599
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妊娠中は主に細胞外液としてナトリウムと水分の貯留がおこり,非妊娠時に比して最高6〜8l増加する。循環血漿量,心拍出量も増加し,妊娠30週頃に最高となり,30〜50%増加する。妊娠末期には,子宮が増大し下大静脈を圧迫するため,心拍出量が減少する。分娩時には子宮収縮により心拍出量が増加し,分娩後は,徐脈となり,心拍出量は70〜80%の増加が認められる1,2)。このような循環器系への負荷により弁膜疾患を有する患者では心不全を引き起こす危険性があり,妊娠前より薬物療法,手術療法が必要となることがあるが,機械弁による弁置換術では,術後血栓塞栓症のおこる可能性があり,厳重な抗凝固療法が必要なため原則的には妊娠,出産後に心臓手術を考慮することになる。各弁膜症によって病態や3)対処法が異なるので各論的に解説する。
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