今月の臨床 今日の癌検診
外陰癌
26.外陰癌細胞診の特徴
上田 外幸
1
Gaiko Ueda
1
1大阪大学医学部産婦人科学教室
pp.710-712
発行日 1991年6月10日
Published Date 1991/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900460
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
外陰癌は比較的稀で,婦人科悪性腫瘍の3〜5%を占めるとされているが,高齢者に好発することから,今後の高齢化傾向に従って重要な疾患になるものと考えられる。組織学的には扁平上皮癌が大部分を占め,ほかに基底細胞癌,悪性黒色腫,腺癌,バルトリン腺腫瘍などが知られているが,現在用いられている世界保健機構(WHO)分類は近く改訂される機運にある。なお,ボーエン病およびページェット病を含む上皮内腫瘍については1986年に修正されたISSVD分類1)(Interna—tional Society for the Study of Vulvar Disease)が現在用いられている。
外陰癌の擦過細胞診には診断的価値の認められることも多いが,子宮頸癌におけるほど重要視されていないのが現状である。その理由として,外陰癌は可視領域に発生して肉眼的に診断可能なことが多いこと,組織検査が容易であること,角化層が厚く表層の痂皮や壊死物質などを除去した後に強く擦過するなどの工夫によっても適切な細胞採取がしばしば困難であることなどが挙げられている。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.